青ペンギンの日記

i46bは基本的に漫画や小説のレビューをします。時として思索した跡を残していくと思います。

『わたしの幸せな結婚』を読んでて感じたこと

最近、前から気になっていた『わたしの幸せな結婚』を読んでみた。

マンガUPやら、ガンガンオンラインなんかでコミカライズが無料で読めたりするのでそれで試し読みしてみると雰囲気がつかめると思う。

 

自分の思想を前面に出しながら書くので、レビューではなく感想文のようなものになるだろう。

 

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

 

この嫁入りは黄泉への誘いか、奇跡の幸運か――

 名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。
 嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞(きよか)。
 数多の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。

 斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。
 初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく――。

 これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。 

 

作者の名前は「あぎとぎ あくみ」と読むらしい。

 

2巻で一区切りついていたのでそこまでに様々な自分のなかの考えが壊されたので書いていこうと思う。

 

ところでこのあらすじを見てみると、『シンデレラ』といった継子いじめを題材とした物語を思い出しますね。

 

実際そういうのを思い出しながら私は読んでいました。要は美世が受動的な女性として描かれているんですね。それは彼女の生い立ちからしてそう描かれているのですが、全体として自身にとってどうしようもない理由で彼女は虐げれらていますし。で1巻において彼女は拉致監禁されますし、それを自力で解決するわけではなくて婚約者が助けにくるのを待つという感じ。そもそも自立して何かする前に感情を取り戻してほしいですからね。

 

でもそういう風に受動的な女性を主人公に据えていることに驚きました。単純に古いと感じました。あるいは本当は古くなくて、私がそういう固定観念に縛られているとも言えますが。

 

というか、全体的に型にはまったキャラ付けがされているとも思っていて、例えば継母や異母妹は高慢ちきに描かれています。そういった、どちらかというと自己を主張していくキャラが悪役にくるんだなぁとも感じました。最終的に自己表現が上手くできるようになった主人公と対比されるような存在になるのかな。

 

ただそういったところを古いと感じるのは私の感性に多分に依っているので他の人が読むと、そうはならんやろってつっこまれるかもしれない。

 

私がこの作品を読んでいて良かったと思う点を書いていきます。

 

単純に主人公の美世に共感できるんですね。主人公は自信がなくて、なにかしらの失敗をしたらすぐ謝り、何か失敗したらそれを自分にせいにしてしまう。そういった姿に共感しました。

 

そういった主人公の姿はひ弱で華奢な女の子に映るので、そういった子が人に受け入れられていくのは心が温まります。

 

それと同時に彼女自身が辛い境遇を過ごしていたのを思いだすと、彼女が存在していい、むしろ必要とされる場所を見つけられるというのは感動するものがあります。

 

許容されるって良いですね。

 

ここまでが大体1巻の感想です。2巻はこれに対して裏の話にいくというか、1巻で放置されてしまったストーリーの枠組みの解体がなされます。

 

ストーリーの中身を適当にすると、美世は別の名家の家系の血を継いでいて、その家系の中でも特別な存在だった。それでその名家に帰ってこいと言われています。といった感じ。

 

全体としてストーリー構造が明かになっていくのが面白いのですが、これに関しては普通に面白くって何も言うことが無いので感情を揺さぶられたところを書いていきます。

 

まず、美世が上手く悩みを打ちあけられずに抱えこんでしまうのに共感しました。それまでに自己表現の仕方や頼れる存在がいなかった彼女は自分の思いを打ち明けられる人が少なく溜めこんでしまうというのは簡単に想像でき、それが故に辛いものもあります。

 

そういったことが理由でコミュニケーションに失敗してすれ違うんですね。もはや気持ちいい。

 

そういったことを乗り越えて頼れる存在を見つけられるというのは微笑ましいもので、満足しました。それとこのあたりから恋愛描写もロマンチックになっていき、ニヤニヤできるので良いです。

 

こう読んでいくと「これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。」というテーマで一貫しています。

 

主人公の美世が自信を持てるようになって満たされていくまでの様子が描かれていくのだろうと思うので、今後のストーリーも楽しみですね。個人的には自己を主張することを覚えた主人公がばったばったと的を倒していくのも見てみたいですが。

 

以上で書きたいことは大体書けました。

 

不憫な主人公が性癖なので楽しんで読めましたが、別にそうでなくて楽しめると思うので、とりあえずコミカライズ版とかを読んでみるのが良いと思います。原作はそれで惹かれたらでも。

 

ではでは