【感想】負けヒロインが多すぎる!
早稲田大学負けヒロイン研究会に触発されて買っちった。
ガガガ公式サイトからあらすじを引用
負けて輝け少女たち!
クラスの背景である俺――温水和彦は、人気女子・八奈見杏菜が男子に振られるところを目撃する。「私をお嫁さんにするって言ったのに、ひどくないかな?」「それ、いくつの頃の話?」「4、5歳だけど」それはノーカンだろ。これをきっかけに、陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花など、負け感あふれる女子たちが現れて――? 「温水君。女の子は2種類に分けられるの。幼馴染か、泥棒猫か」「なるほど、大胆な分類だ」……負けてこそ輝く彼女たちに、幸いあれ。負けヒロイン――マケインたちに絡まれる謎の青春が、ここに幕を開ける!
私は負けヒロインが好きで、特に吹っきれないで、くどいくらいに引き摺るのを見ると気持ちよくなってしまう。なのでこうやって負けヒロインをメタ的に捉えて作品に落とし込んでくれるのはすごい嬉しい。
この1冊のあいだになんと女の子が3人も失恋していった。そのたびに訪れるなんともいえない感傷がまた良いんだよね…
こういうのを上手くできてるのって、主人公がかなりおいしいポジションにいて、一定しているのもある。間接的には関わっても、直接的に恋愛に介入してめちゃくちゃにすることはない。傍から眺める、つまり観測者の役割を与られているわけだ。達観ぼっちと紹介されているが、そうであるために時に読者に想定される気持ちを代弁してくれる。最後の方で少し動いても、「お前はそういうやつだよな…」とある種の愛嬌を感じる造形になっていて、うらやましいかぎりだ。
で、個人的にこの作品ですごい楽しかったのは、表紙にいる女の子、八奈見杏菜が失恋したうえにいい具合に嫉妬しつづけて引き摺っていくのを見ることだ。すでに試し読みできる範囲内で彼女は失恋する。その仕方がテンプレートをまんま 沿ったような感じでさ、もうギャグだった。その直後の愚痴や、その後たびたび吐かれる好きだった子の惚気を見ての愚痴が、まさに欲しいもので気持ちよく響く。もうそういったところまでプロの幼馴染だ。敬服する。
2巻以降の刊行が決まったらしい。めでたい。今後もどんな負けヒロインが出てくるか楽しみだ。