【感想】もしも明日、この世界が終わるとしたら
2022年12月28日発売。年末ギリギリの発売にビックリ。
このライトノベルを書いている漆原雪人は美少女ノベルゲームのシナリオで有名な人だ。『いろとりどりのセカイ』や『さくら、もゆ。-as the Night's, Reincarnation-』で有名。逆にその1シリーズと1作のみの寡作なライター。そんなやつが、ラノベを!?
イラストを担当しているゆさのは『ATRI -My Dear Moments-』のキャラクター原案や原画、背景美術のわいっしゅもまた、美少女ノベルゲームの背景で活躍している人だ。
要は売れてるエロゲークリエイターで布陣を組んでラノベに殴り込みである。
終わりゆく世界を前に、少女は願う。
かつて英雄(あの人)が愛し、そして救った世界。余命はおよそ一年。
たとえ、私が死ぬことでしか世界が救われないとしても――。
「大咲空さん。どうか、お願いします。この世界を救ってもらえませんか?」
「あなたはかつて、この世界を救った『英雄の生まれ変わり』なんです」
終わりゆく世界を前に、少年は自問する。
召喚されてからこの世界で過ごした、少女(ユーリ)との日々。
ちょっぴりドジで、すぐ拗ねる。でも、たまに見せてくれる笑顔が嬉しくて――。
この世界と、大切にしたいたった一人の女の子。
どちらか片方しか救えないのなら――。
見てください! このタイトルでこのあらすじ! 面白くなさそうな感じがすごい! (ネガキャン)
とりあえず実際の感想。
まず文章のクセが強い。エロゲライターのころからクセが強いと散々言われていたが、それがラノベになるとクセが強いじゃなくて、もはや下手とすら言える。
すべての文に主語をつけようとするのは、何も小説の書き方がわかっていなのでは? とすら思える。とりあえずクセが強いのを避けたいなら試し読みはしたほうがいい。編集の目がしっかり通ってるのかなぁ。
あとは第3視点から俯瞰するような文自体が少ない。地の文もほとんど主人公のモノローグ。少なくとも客観的な文が見当たらなかったのは強調しておきます。エロゲでの書き方をそのままラノベにしていると言えますが、うまく変換できておらず、嫌な文体にまとまっています。
時系列自体はほとんどいじられていないのかな。ときどきフラッシュバックがあるが、それらすべては実際のシーンがそのまま思い出されるのではなく、会話の中でこういう話があったねというふうな感じで語られる。なので一文ごとに一文だけの時が進む。
ストーリーそのものについて。
ゼロ年代セカイ系にテン年代のサヴァイブを合わせたのをもう一回ゼロ年代に返して、20年代的草食主人公を中心に据える。
なんやこれ?
設定の突拍子さについていけなかったり、「うおコテコテのゼロ年代要素だ!」みたいなのに釣られたり。
あまり目新しい要素がなく、退屈。文自体の悪さも手伝って話のダイナミックさが伝わってこないのもあり、気持ち悪さが残る。
あと、話が進むのも遅い。1巻終わりと共にオープニングが流れるのが幻覚で立ち表れてきたが、エロゲペースでの話の進め方はラノベでやると退屈なので、もっとグイグイ話を回してほしい。
次巻を作る気満々だったけど、このままなら打ち切られるんじゃない?
もっとラノベに寄せた作りにしてほしい。
気鋭のエロゲライターのラノベだし、続きが出たら買うけど、もう期待できん。打ち切られたらエロゲで出してね!