青ペンギンの日記

i46bは基本的に漫画や小説のレビューをします。時として思索した跡を残していくと思います。

【感想】ガールズ&パンツァー

夏休みだしアニメたくさん観ようと思いたちdアニメストアを契約。ガルパンが期間限定配信してたので視聴

 

anime.dmkt-sp.jp

 

dアニメからあらすじ引用

戦車を使った武道「戦車道」が華道や茶道と並んで大和撫子のたしなみとされている世界。県立大洗女子学園に転校生、西住みほがやってきた。戦車道が嫌いで、戦車道のない大洗女子を選んだみほ。ところが転校そうそう生徒会長に呼び出され、必修選択科目で戦車道を選択し、戦車道全国大会に出場するよう強要される。しかも、集まったメンバーは個性派ばかり。華道家元の娘の五十鈴華、恋に恋する武部沙織、戦車マニアの秋山優花里、朝に弱い優等生の冷泉麻子…。友達とのフツーの女子高生活を夢見るみほのささやかな願いは叶うのか…?!

 

 内容としてはすごい面白かった

 

細かいところ(あんこうさんチーム以外が異様に直情的だったり、廃校の設定がガバだったり)が少し気になったがそれを上回る面白さ。

 

まずキャラクター原案からただようフェティシズムがアニメで動くキャラクターにかなり丁寧に落とし込まれていたりしていたりして一周まわって芸術的。ぬるぬる動くし動きの緩急のつけ方がうまく、目で見て楽しいものだった。相当コストがかかっている気がする……なによりも可愛い動きをしていた

 

次にカメラワークの技量が高く、映画館のような大きなスクリーンでもないのに迫力があった。最終話の砲台視点で動くカメラはグリグリ動くし砲弾を打ったり打たれたりする振動もあってめちゃくちゃに良い

 

そして熱いストーリー展開。一人では操縦できない戦車、勝てない戦いといった要素が綺麗にハマっていて、友情、仲間意識といった絆を感じさせるものや、主人公をとりまくライバル関係、因縁といったものまで、少年漫画的な面白さを感じた。話全体を通して、西住みほが戦車道が嫌いだったことから最後の「見つけたよ、私の戦車道」までの流れが丁寧で締まりが良い

 

最後にそれら全体をまとめあげたバランス力。ときどき本気で追い詰められてピンチなときに敢えて軽い音楽にすることで重くなりすぎずにあくまで学校行事のひとつである、決して戦争にしない感じがいい塩梅だった。試合の時に通してガチのシリアスな音楽を用いていたらこのようなアニメにならなかっただろう。コミカルさと真剣さの配合が絶妙だった

 

今まで食わず嫌いしていたところもあったので。「ガルパンはいいぞ」の8文字に含められた良さはわからなかったが、確かに良い作品だった。一見の価値がある。ガルパンはいいぞ

【少女漫画入門日記 その9】半神

萩尾望都が描いた伝説的な短編読み切り。たったの16頁でこんなに面白い!とよく聞く。実際面白い。

 

 

萩尾望都の短編集。この作者の短編の中で一番有名だろう。この短編集も表題作がずば抜けて面白かった。

 

『半神』は卵胞の時期にきれいに二分されなかった故、一卵性双生児になりきれずに腰のあたりでくっついて一人として生まれてしまった双子の話。片方は頭が弱いがすごい見目麗しいユーシー、もうひとりは頭はいいがみすぼらしい見た目のユージー。ユージー視点で話が進んでいく。ユージーはその見た目ゆえにユーシーの付け合せでしかなく、満足に生活できないユーシーの介護ばかりしていて、不憫だと嘆き続けたある日、手術で切り離せるという話になった。ユージーは喜んで受け、手術は成功。ユージーの人生は上向きになる。しかしながら、彼女の脳裏には、切り離されて養分を満足に得られなくなり干からびて死んでいったユーシーがいる。彼女の見た目は切り離せる前のユージーそのものだった。豊かになっていくユージーは、それ以降ときどきユーシーがいなくなったことに涙を流す。

 

教訓的な話で、バッドエンドのような感じだが、劇としての落としもうまく、舌を巻く出来栄えである。

 

さて、この短編集のなかで『半神』がもっとも面白いとは言ったが、他の作品のできばえが悪いわけではまったくない。珠玉の短編が集まっている。萩尾望都、まず絵がうまいから手を抜かないで作るとそれだけで見栄えがいいんだよな……それだけでなく少女漫画なのにSF!恋愛話も多いがそれ以上にSFが多い。何なら恋愛はストーリーのスパイスのアクセント。

 

『真夏の夜の惑星』とかかなり面白かったな。兄弟同士、姉妹同士で互いの持っていた複雑な感情をぶつけ合って和解する感じ。それが大きなハスが蕾になって開花するのに重ねられているのとか、モチーフとの重ね合わせもあってキレイだった。

 

別に萩尾望都の作品、美少年の作品ばかりが面白いわけではないんだね……ゴツいおっさんとか爺とかが主要キャラに出てきても上手い〜ってなる。

 

他の短編も読んでみたくなった。『イグアナの娘』とか。

【少女漫画入門日記 その8】櫻の園

吉田秋生は『BANANA FISH』でその名前を知っていたが、他に『海街diary』などを描かれたベテラン作家であるのを最近知った。タイトルがチェーホフの戯曲を思い出すなと思い調べてみたら、無関係ではなかったので興味を持って読んだ。

この作品を読む前にチェーホフの『桜の園』も読んだが、つまらなかった。そのうえ、案の定ではあるが作品そのものの内容にも対して関わりがないため読んだ意味はあまりなかった。

 

チェーホフ桜の園の主要な女性登場人物と重ね合わせて作られた4人のキャラクターにまつわるお話。だいたいが思春期の女の子が若さの儚さを知ったり性差を知ったりといった感じ。扱っているトピックは生々しい印象を受けるが、それを詩的にまとめ上げている。

 

激しい感情が〜ではなくて、繊細な心と年頃の女の子らしい揺れ動きが丁寧に描かれていた。どちらかというと雰囲気は小説に近いかもしれない。そういう良さがあった。

【感想】微熱空間

近所のBOOK OFFに行ったら安く買えたので手に取った。『楽園』をめくっているときにキャラが可愛くて気になっていたのが遠因。

 

 

そろそろ4巻が出るらしいですね。

 

あらすじ引用*1

多感な時期の女のコが同い年のオトコのコと急な事情で生活を共に…。蒼樹うめが満を持して放つ悩ましくも羨ましい物語

 

蒼樹うめの絵をこの作品読むまでかわいいとか魅力的に感じたことがなくって、というのも私が普段見る絵と比べでコントラストがそんなに高くないんですよね。でもこの作品読むと「え、かわいい」と思わず言ってしまうような、そういう魅力にあふれてました。動的な可愛さっていうのかな、表情の移り変わりに魅力が詰まってます。たとえば扉絵とカバー下のイラストが差分の関係になっているんですよね。カバー下がそうなってると思わなくって、最初見たときはその想定にかなり虚をつかれました。カバー下にもカラーがあるなんて、豪華に作られてますね。

 

お話自体も上品な恋愛漫画で精神的な栄養になりますね。設定だけ見るとエロゲにもありそうなものなのに、決してエロに走らず、初心な感じ。


「あぁ〜これ良い〜」って思わず言いたくなる作品。これを機に積んでた『ひだまりスケッチ』を読もうかな。

【感想】踊り場にスカートが鳴る

コミック百合姫2020年10月号の新連載でこの作品を読んたときの衝撃は忘れられない。

 

 

社交ダンスは普通男女ペアでの競技だが、その競技人口の男女比から女性同士のペアがありうる……どちらかが男性役(リーダー)を、もう片方が女性役(パートナー)を体格差から決めて練習するのだが、主人公の春間ききはパートナーをやりたいのにも関わらずその高身長故にリーダーの方に適正があり、そちらの方が似合っているからとリーダーを演じていた。そこに長年のペアから渡される解散宣言、ききはそれを受け入れられないまま新たな自分のペアを探すことになる。経験者であり、小柄で可愛らしい少女である鳥羽見みちるが現れる。似合わないであろうリーダー役を志望するみちるとの出会いが、ききを変えていく……

 

 

私は似合うこと、得意になりやすい方を選択する方が楽だと思ってるので、どちらかというと押し付ける側にいるんですが、それは私に強くなりたいものがないからなんですよね~~。あるいはなりたいものと得意なものが一致していただけだったり。

 

ききはなりたい可愛い自分があってもそれは自分には似合わないと表に出さない。それが、それが表にちょっとでちゃった時があって、それがみちるに見つから。みちるはそのパートナーを演じるききに惹かれて、「似合う役(リーダー)をするのがいいと思っていた」ききに「本当にそれで良いんですか?」と問いかける。いいわけないだろ!

 

そういうわけでなりたい自分があるのって羨ましい……羨ましいね……

 

でもなりたい自分へと向かっていくって決めても、簡単にいくわけではないんですよね。やっぱり、背の小さいリーダー、大きいパートナーは不恰好になるので上手くいかなかったり。

 

きき、パートナーをやると決めても練習しているときに注目されたら萎縮しちゃって、やっぱり無理なのかなぁ……と悩んだり。なんども立ち止まるんですよ。そうやって足踏みするのが、刺さる…とても人間らしい。一人で自主練しながらも、周囲の視線を思い出し、「やっぱり……」って三角座りしてひとりごちるの、良さ……

 

この作品で私が特に好きなのは、作品の見所を実際に社交ダンスしているシーンに持てきており、その描写がとても丁寧で、美しい作画で描くところですね……たとえば第1話のここ。

 

 

 

はぁ……綺麗……好き……

 

このシーンがそれまでの展開で溜めた分をしっかり解放していて、気持ちがいいところ。初めてここまで読んだとき、この遷移が美しすぎてなんども返ってみかえした。とりあえず任意の人間にここまで読んで欲しい。

 

この作品は作画の美麗さと選択するテーマ、社交ダンスという媒介が調和していてある種、詩的とすら言える清らかさを醸しだしている。もっと有名になってくれ……

ツユの3rdライブに行ってきました

行ってきました

感想を書いて私の脳内に焼き付けます

 

 

 

不幸に誘われていたはずだが、気付いたら幸せになっていたのだ。不思議でしかない。

 

 

ステージの様子

3段に分かれていた。1段目の上手にベース、下手にドラム、上手の舞台袖にマニピュレーター、下手舞台袖にイラストレーター(!?!?!?!?)がいたらしい()。 2段目の上手にギター、下手にキーボード。ボーカルは移動しながらだったので割愛。3段目はボーカル専用だったね。

 

1番下の段に埋め込まれている照明が透明な傘で被り物をしていて、凝ってるなぁと感じた。他の照明装置もかなり効いていたのだけれどこれを記そうとするとかなり詳細に書かないといけないので割愛。ライブの様子をビデオに収めていたので、いつか円盤にしてくれるかもしれないのを期待して、それに任せることにします。

セトリとか

 基本的にこのライブと同一タイトルのアルバム『貴方を不幸に誘いますね』を基本骨子として*1それに1stアルバムから3曲*2全てと、上のアルバムの購入者特典楽曲で構成されていた。

驚いたことにアンコールやるまでMCがまっったくなかった。助かった。なので基本的にずっと立ちっぱ。それと、声が出せないあからクラップで一体感を味わおうとしている人が多かった。サビの時は右手を挙げて閉じたり開いたり。ペンライト文化以外が初だったので意外だった。たまに見るライブの映像で観客たちが手を挙げているのってこれの亜種なんだね……

以下、曲ごとに覚えていることを書いてく。

ただしセトリは正しくないものとする

強欲

 インスト曲でピアノソロ。なるほど入りがこれなら会場も静かに聞くし、これから始まるであろうライブに想像を馳せられる。でもピアノ格好良かた。

ナミカレ以降のツユはピアノがかなり気持ち良いことになっているので、ここで存分に浴びれたのは気持ちの切り替えにもなっていて助かった。

デモーニッシュ

 ボーカルの礼衣さんが3段目に立っていたのが薄い白い布で透かされてわかった。白い布には映像が投影されてMVが流れるという形。そこそこ布が大きくってそれにデカデカとMVが流れるの迫力あるよね……

消灯とキツめの赤の照明だったような気がする。まだ空気に慣れていないので、低温がガンガン体に効いてきて寿命が伸びる感覚がした。

過去に囚われている

 黄色や橙色を使っていたっけなぁ……クラップするのが楽しかった。ピアノの音が冴えていて澄んだような気持ちになった。

奴隷じゃないなら何ですか?

 緑が基調。それに赤が混ざっていく。歌い始めが強い曲なんだよね……これ……まだMVが公開されていない楽曲なので、それをライブで聞けたのかなり良い体験だった。

ルーザーガール

 お前が大好きなんだよ……実は上の曲の間を少しピアノソロを挟んでいて、ピアノにスポットライトを当てるだけ、それ以外の照明も切っており、その間にボーカルが3段目から2段目に降りてきてギターとキーボードの間に位置するようになった。このあたりからボーカルが歌いながら演技のように体を動かす様子がわかるようになった。

雨を浴びる

 抑えめの曲。MVからもわかる通りに真っ青な印象。ライブで聞くとBメロ良いね……になった。良いよね……

わりと珍しい男のイラスト。

太陽になれるかな

 前の曲からさらに抑えめの曲。バラード曲にクラップ合わないから、こういうときにペンライトがありがたいなぁと思った。映像を投影する場所の話なんだけど、それが下の小さいところしか使われなくて、そういう仕様なのかなぁとちょっと思った。

テリトリーバトル

このあたりアルバムと若干違う。音ゲーに収録された楽曲で、これがアルバムに収録されると聞いたときは嬉しかったな……4つ打ちが効いてて健康になる感じがした。人類は4つ打ちに負けてしまうものなのね……

ここでベースの方が一瞬姿を消していて、この曲ベース使ってないんだなと初めて気付いた。

サビで赤と青のライトが交互に照らしており、この2色で争っているんだなと感じた。

かくれんぼっち

 ペンライト使う時に白にするか緑にするか悩んだ。最後にサビが2回あるの忘れていて、不意打ちをくらったような気分になった。

梅雨明けの

 2ndアルバムのanimate特典。これが聞けると思ってなかった。最後の盛り上がりがいいんだよんね……今まですごい静かだたのが、最後に開放されて清澄になる感じ。

ピアノとボーカルにスポットライトを当てていたので、この2つで構成されているんだろうなぁ……と思った。

風薫る空の下

 澄んだ曲が続きますね。この曲は最近あまりリピートして聞かないので懐しい気分になったり。ギターの音好き。

ナツノカゼ御来光

 これはタワレコ特典。初めて聞いたんだけど良い曲だね……橙色で半分くらい照らしていたような……

アサガオの散る頃に

 前のアルバムに入ってたカバー曲。カバー曲、続きますね。大きくMVに使われていたイラストがスクリーンに表示されていて、おむたつ先生以外のイラストだったので少し印象に残った。おむたつ先生はわりとあっさりとした塗りをしているのだけれど、このMVに使われるイラストは若干厚塗り気味だから違いがわかりやすい。

秋雨前線

 この楽曲の間はキーボードとギターをスポットライトで浮かびあがらせていたので、その2つの楽曲で構成されているんだなぁ……になった。多分、どろぶんちゃんが黄色の紅葉のじゅうたんによこたわっているイラスト。インスト曲がMVになることはないだろうから、アルバム紹介動画以外で日の目を見る機会あるのかなぁ……見たいなぁ……と思ってたり。アサガオは梅雨の季節で梅雨前線、この楽曲の秋雨前線と対になっているのかな。

忠犬ハチ

 これも異色な曲。正直らしくないなぁ……と思いながらも情に訴える曲作りになっていて、不覚にも感動してしまう。MVのノスタルジーっぽさがいいんだよね。

あの世行きのバスに乗ってさらば

 これのメロディを使ってピアノソロが流れ始め、キーボードにスポットがあたり、それ以外暗くなる。その間にボーカルが1段目の真ん中にくる。マジかよと思っていたら上からさらにデカいスクリーンが降りてきて「あの世行きのバスに乗ってさらば」と始まる。絶叫しなかった自分を褒めてやりたい。これ聞けただけで死んでもいいなって思った。

くらべられっ子

 ツユで1番再生されている楽曲。会場が熱くなるのを感じた。あのバスに続いてこれが流れるとか、殺しに来ている。これについてはすごい良い曲なので語ることはあまりない。

ナミカレ

 1番好きなMVやっぱこれだなと、クソデカスクリーンを眺めながら思った。あの音響で流れるものだから気分は映画館よ。 アウトロのピアノソロが冴えていて、気持ちいい~~になりました。

泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて

 迫力満点。この楽曲、唐突な終わりをするから余韻がとんでもない。箱に残る残響に感情が持ってかれる。

終点の先があるとすれば

 明らかに「あのバス」のアンサーソング。これが2ndアルバムだからこれで本編は終わってしまうんだな……としみじみ思いながら聞いた。

ラスサビであのバスちゃんとおぼしき顔が写されたとき腰抜かすかと思った。

やっぱり雨は降るんだね

 アンコール1曲目。やっぱこれだねぇ……になった。イントロと共に落ちるクソデカスクリーン。あぁ無情。しかし、かなり良い演出だなぁ……オッと声を上げちゃった。

 

MCでこの楽曲を公開したらn-bunaさんから「インターネットに埋もれるべきではない」というような趣旨のDMを受け取ったらしく、そのメッセージを糧に今も頑張っていると感謝を述べたらしい。本人に直接言えや。

ロックな君とはお別れだ

すごい好きなのでもう感無量。前のアルバムの楽曲で生で聞きたい曲全部聞けた。

 

結び

ライブ良すぎて終わった後物販に駆け込みなおして缶バッチとアクリルキーホルダーを買っちった。イラストレータ*3のセンス良すぎ。声が出せないライブだったけど、とても良い体験だった。ツユの曲、やっぱり好きだ……アルバム聞いてライブの余韻を思い出しながらこれを書いたのですが、また生で音浴びて歌を聞きたいよ……

 

(了)

*1:見てみると少し入れ替えられてる。セトリの記憶違いを疑う

*2:インスト曲2曲と『ひとりぼっちと未来』。

*3:MCでツユの可愛い担当って言われていた

【少女漫画入門日記 その7】はいからさんが通る

サークルの人にオススメの少女漫画なにかありませんか?って聞いたら、大和和紀作品が勧められた。調べてみたら『はいからさんが通る』や『あさきゆめみし』の作者だった。「はいからさん」は有名なので読んでみようと思い、図書館で取り寄せて読んだ。

 

 

お転婆な少女紅緒が斜陽の華族に嫁ぐことになったけど、嫌だから暴れて追い返されようとしたら逆に気に入られて、紅緒も許嫁に対して満更でもないご様子になったあたりに、紅緒の酒乱が発揮して許嫁の上司を怒らしてしまい、許嫁は海外へ飛ばされて行方不明に!紅緒は操を守って家族に居座り続けて働いたりしていたら記憶をなくした許嫁が帰ってきた。許嫁は恩を返すためにある女性と婚約関係にあって、紅緒はそれに入り込めないと諦めてその時に言い寄ってきていた男と結婚することにしたら、結婚式のさなかに関東大震災が!その事故が理由でもとの許嫁とくっつくことができました。

 

という話。ロマンチックだけどコメディ部分が多くてロマン……チック……?となる。イケメンがイケメンする以上に、ヒロインがいい具合にテンプレートを破壊してヒロインが主人公してる感じがいいですね。好きです。

 

作品内でもメタネタとして「これ本当に少女漫画?」や、「この主人公、少女漫画の主人公らしくないわね」みたいな発言があり私はメタネタに弱いのでクスクス笑えました。

 

はいからさんこと紅緒がいいキャラしているんだよなぁ、キャラクターの形成に大成功してる。活動的で型破りで、でも乙女。嫌いになる要素があまりない。酒乱な女性キャラクターはそれなりにいるけれど、主人公に振られた属性でそれが災いばかり呼び起こすのはそれっていいの?って感じ。

 

ストーリーもコメディ抜き、つまりメロドラマ部分だけ見てもそれなりに完成度が高く、現代までその名前が残るのに納得の出来栄えだった。

 

クライマックスの関東大震災の使い方が劇的で、その演出も冴えていたため、そのシーンはかなり印象的。そのシーンだけでも読む価値はある1作だった。