青ペンギンの日記

i46bは基本的に漫画や小説のレビューをします。時として思索した跡を残していくと思います。

【少女漫画入門日記 その7】はいからさんが通る

サークルの人にオススメの少女漫画なにかありませんか?って聞いたら、大和和紀作品が勧められた。調べてみたら『はいからさんが通る』や『あさきゆめみし』の作者だった。「はいからさん」は有名なので読んでみようと思い、図書館で取り寄せて読んだ。

 

 

お転婆な少女紅緒が斜陽の華族に嫁ぐことになったけど、嫌だから暴れて追い返されようとしたら逆に気に入られて、紅緒も許嫁に対して満更でもないご様子になったあたりに、紅緒の酒乱が発揮して許嫁の上司を怒らしてしまい、許嫁は海外へ飛ばされて行方不明に!紅緒は操を守って家族に居座り続けて働いたりしていたら記憶をなくした許嫁が帰ってきた。許嫁は恩を返すためにある女性と婚約関係にあって、紅緒はそれに入り込めないと諦めてその時に言い寄ってきていた男と結婚することにしたら、結婚式のさなかに関東大震災が!その事故が理由でもとの許嫁とくっつくことができました。

 

という話。ロマンチックだけどコメディ部分が多くてロマン……チック……?となる。イケメンがイケメンする以上に、ヒロインがいい具合にテンプレートを破壊してヒロインが主人公してる感じがいいですね。好きです。

 

作品内でもメタネタとして「これ本当に少女漫画?」や、「この主人公、少女漫画の主人公らしくないわね」みたいな発言があり私はメタネタに弱いのでクスクス笑えました。

 

はいからさんこと紅緒がいいキャラしているんだよなぁ、キャラクターの形成に大成功してる。活動的で型破りで、でも乙女。嫌いになる要素があまりない。酒乱な女性キャラクターはそれなりにいるけれど、主人公に振られた属性でそれが災いばかり呼び起こすのはそれっていいの?って感じ。

 

ストーリーもコメディ抜き、つまりメロドラマ部分だけ見てもそれなりに完成度が高く、現代までその名前が残るのに納得の出来栄えだった。

 

クライマックスの関東大震災の使い方が劇的で、その演出も冴えていたため、そのシーンはかなり印象的。そのシーンだけでも読む価値はある1作だった。