【感想】リボンの騎士
萩尾望都の『私の少女漫画講義』で少女漫画の走りとして紹介されていたのでそれで読んだ。
初めと終わりで私の体は女の子なのよと言うわりには、その間はずっと私は男なの女なのと悩むので、ちょっと台無しだなと思ったりもしたけど、全体の出来がすごくよかったのでそんなのに目くじらを立てないで楽しんだほうが良かったなと感じた。
男の子の心と女の子の心というのが生まれる前に与えられてそれになるという世界で、女の子の心を与えられうべき子が男の子の心も同時に与えられてしまい、さらに生まれたのが女の子でありながら、王子として振る舞わないといけない立場になければならない、という感じ。
そういう世界での話なので男らしさ女らしさというのがかなりしっかりとした形であらわれて、ぶつかりあう。そういう世界でかつ男性の方が権力が強い。話は女性の権利を主張していくようなものを感じた。
少女漫画の源流の一つになりえたのは、女の子でありながら男の子と張り合ってぶつかっていくサファイアの姿だそうです。そういった願いを汲み取れる作品なので納得である。
コマ割りがかなり現代のもに近いなと感じた。偏見だが、昔の漫画ほどかなりキツいコマ割りをすると思っていて、しかしこの作品はかなり余裕のある感じ。それでも話がかなりの密度で進んでいく。バランス良い。
展開はまさに息をつく間もないという感じ。サファイアが女であることがバレるかもしれない?だけでなく、サファイアが恋している男と結ばれるか?など、複数の話が順番に進展していく。それでいてゴチャゴチャしていてわからね~ってことにならずに、スッキリと頭に入ってくる。すごい上手。
短くまとまっていながら、満足度も高くて良かった。